はじめに
マレーシア人と結婚し、配偶者ビザ(Long Term Social Visit Pass / LTSVP)を申請しました。ネット上に体系立った情報が少なく苦労したため、申請の体験談をまとめます。これから申請する方の参考になれば幸いです。
※本記事は筆者がクアラルンプール(KL)のImmigration Department of Malaysia – Federal Territory of Kuala Lumpurで実際に申請した記録です。州や申請オフィスによって必要書類・運用が異なる場合があり、カップルや外国人の国籍によりプロセスが異なるようです。必ず事前に管轄オフィスへ確認してください。
全体の流れ(サマリー)
配偶者ビザ(LTSVP)申請は、大きく分けて次の5ステップで進みます。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ① 結婚登録(ROM) | マレーシア人パートナーと婚姻届を提出 登録式までの手順はこちらの記事にあります。 | – |
| ② 必要書類の収集 | 11-13種類の書類をマレーシア人パートナー中心に準備(詳細は2.必要書類チェックリストへ) | 数日〜数週間 |
| ③ 事前の他ビザキャンセル(該当者のみ) | 就労・学生・デジタルノマドビザ保有者のみ、事前にキャンセルが必要(詳細は3.現在他のビザを保有している場合へ) | 申請前〜申請と同時期 |
| ④ 本申請・書類提出 | 管轄のImmigration Departmentへ書類一式を提出 | 1日 |
| ⑤ Special Pass発行→配偶者ビザ承認 | 1か月更新のSpecial Passを経て、正式な配偶者ビザが発行 | 約1〜2か月 |
筆者の場合の実際のスケジュール感: 結婚登録から配偶者ビザ発行まで、約2か月でした(5/12 結婚登録 → 7/15 配偶者ビザ発行)。
以下、各ステップの詳細・必要書類の一覧表・FAQを順番にまとめています。
申請場所とタイムライン
申請場所の決め方
申請はICに記載された住所ではなく、結婚後に2人で実際に住む予定の住所を管轄するイミグレーションオフィスで行います。住所を証明する書類が必要なため、ICの住所地に住んでいない(住む予定がない)場合は、実際に住む場所を管轄するオフィスで申請する必要があります。
例: ICの住所がShah Alamで、家の契約がクアラルンプール市内であれば、Shah AlamではなくKLのオフィスで申請します。
参考: Immigration Department of Malaysia – Federal Territory of Kuala Lumpur(Googleマップ)
Tip: 必要書類について受付の案内役オフィサーに質問するついでに、必要書類リスト(チェックリスト用紙)をもらっておくとスムーズです。受付での質問だけであれば予約なしで訪問可能です。(不在の時間もあり)
実際のタイムライン(筆者の場合)
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 5/12 | 結婚登録(ROM) |
| 5/18 | 必要書類を集めて一旦提出(事前チェック) |
| 5/20 | 現行ビザをキャンセル |
| 5/28 | 本申請完了・1回目のSpecial Pass発行 |
| 6/25 | Special Pass更新 |
| 7/15 | 配偶者ビザ承認・支払い・パスポートへのステッカー発行 |
必要書類チェックリスト(マレーシア人パートナーに集めてもらう書類)

KL(Immigration Department of Malaysia – Federal Territory of Kuala Lumpur)申請時の公式チェックリスト「CHECKLIST FOR NEW APPLICATION FOR HUSBAND (PIM 29/01) / WIFE (PIMT 16/09)」の英語表記をもとに整理しました。
| No. | 必要書類(英語表記) | 内容・注意点 | 対応窓口・入手方法 |
|---|---|---|---|
| 1 | Form IMM.55(1部)、Form IMM.12(2部)、Form IMM.38(2部) | 申請用紙一式。ボールペンで手書き記入。 | イミグレーションオフィスの窓口/事前配布リストに用紙あり |
| 2 | Additional Information Form(追加情報申告書) | 上記と同様、ボールペンで記入。 | イミグレーションオフィスの窓口 |
| 3 | Security Bond(保証書・印紙税スタンプ付き) | 用紙に記入後、STAMPING(印紙税の押印)が必要。Witness(保証人)のサインとICのコピーも必要 | Lembaga Hasil Dalam Negeri(LHDN、内国歳入庁)の近隣窓口でスタンピング可能。オンライン予約が必要。申請と同日に済ませるとスムーズ。 参考:スタンピング窓口(Googleマップ) |
| 4 | Sworn Acknowledgement(宣誓供述書、政府裁判所によるコピー証明) | 専用窓口で費用を払い、サインしてもらう必要あり。 | Commissioner of Oaths(宣誓供述人事務所)。KLの場合、イミグレーションオフィス敷地内で対応可能、予約不要。 |
| 5 | マレーシア人のIC(MyKad)のコピー | 原本を用意して申請当日に持参。Certified true copy をJPN marriage deptで得る必要あり。 | 原本を持参。イミグレーションオフィス敷地内でもCertified true copy入手可能 参考:認証コピー窓口(Googleマップ) |
| 6 | 婚姻証明書/海外での婚姻登録証明書(該当する場合) | 原本を用意して申請当日に持参。海外で結婚した場合は日本の受理証明書等が該当。 | 海外発行分は必要に応じて用意(筆者の場合不要だった) |
| 7 | マレーシア国内の婚姻証明書(宗教局/National Registration Department発行分のコピー証明) | 通常のコピー機での複写やUTCのオフィサーのサインなどでは不可。JPNメインオフィスで専用用紙での認証コピーが必要。 | KLの場合、イミグレーションオフィス敷地内(JPN)で対応可能。費用RM50 参考:認証コピー窓口(Googleマップ) |
| 8 | 結婚当時のパスポートのコピー+最新パスポートのコピー | 原本を用意して申請当日に持参。 | 原本を持参。イミグレーションオフィス敷地内でもコピー可能 |
| 9 | 結婚式の写真 | 挙式写真などを数枚プリントアウト。 | 事前に印刷イミグレーションオフィス敷地内でも印刷可能 |
| 10 | 夫婦それぞれのパスポートサイズ写真(4枚ずつ) | 背景は青が必須。白背景の写真などはNG。 | イミグレーションオフィス敷地内のコピー屋隣の写真店などで当日撮影可能 |
| 11 | スポンサー(マレーシア人配偶者)の収入証明:雇用主発行の在籍証明書、給与明細(直近3か月分)、SSM登録データの最新プリント、自営業の場合は宣誓供述書 | 会社印入り在籍確認レターが必要。給与明細・給与の振り込みが確認できる銀行の明細も合わせて3か月分。 | 勤務先からレターをもらったり、事前に印刷する。筆者のパートナーの場合、SSM登録書は不要だった。 |
| 12 | 居住証明:賃貸・購入・グラント契約書のコピー、電気/水道料金明細、家の写真(外観・番地表示など) | 電気代などの明細は番地まで印字されるよう設定しておく必要あり。集合住宅の場合は名称が分かる看板の写真も追加。 | TENAGA NASIONAL(電力会社)等の請求書発行元(詳細住所入り)イミグレーションオフィス敷地内でもプリントアウト可能 |
| 13 | 書類の不備・遅延に関する説明書(該当する場合の宣誓供述書/理由書) | 書類が揃わない・遅延がある場合に提出。 | 筆者の場合不要だった。 |
注意点と裏技
書類の準備・記載ミスが起きやすいポイント
- No.3 Security Bond: マレーシア人の知人にWitness(証人)としてサインをしてもらう場合、その知人のIC(身分証)コピーまで必要になります。
- No.4:Commissioner of Oathsでのサイン・押印が必須(費用がかかりますが、予約不要で提出当日に敷地内で対応できます)。
- No.7 マレーシア国内婚姻証明書のコピー: 普通のコピー機で複写し、UTCで別の担当官にサインをもらったものは使用不可でした。費用(RM50)をJPNへ支払い、JPNで専用用紙へ印刷してもらう必要があります。原本も持参する必要あり。
- No.10:証明写真は青の背景が必須。白い背景の写真を持参しましたが使用できませんでした。敷地内で撮影も可能。
- No.11・12:会社スタンプ入りの書類、番地まで印字された公共料金明細など、フォーマットの細部が影響します。
- No.6 :マレーシアでしか登録していないので必要ありませんでした。
裏ワザ:有料コンサルの活用

Commissioner of Oathsへサインをもらいに行った際、隣のブースでRM30の有料書類チェックサービスがありました。不備のある書類の代筆での書き直しもしてもらえました。場所はGround Floorのキャンティーン横、コピー・事務系の店舗が集まっているエリアです(マレー語対応)。
現在他のビザを保有している場合の事前手続き(該当者のみ)
※本セクションは、観光目的で一時滞在中の方(ソーシャルビジットパス)には該当しません。 就労ビザ、学生ビザ、デジタルノマドビザ等を取得していて、そこから切り替える方のみ対象。
配偶者ビザと就労ビザなど他の長期ビザは並行して保有することができません。そのため、申請時点で有効な他のビザがある場合は、事前にキャンセルする必要があります。
筆者の場合、受付での事前相談だけでは「出国してキャンセルする必要があるのか」「有効期限まで放置していいのか」といった疑問が受付で聞いても解消されなかったため、キャンセルしないまま申請にトライしたところ、書類チェック後にキャンセルを勧められました。
実際の流れ(筆者の場合・デジタルノマドビザ保有者):
- 5/18:書類を一式集めて事前チェックを受ける
- 5/20:MDEC(Malaysia Digital Economy Corporation)で現行ビザを5/28付でキャンセル
- 5/28:正式申請(受理される)
ビザキャンセルについて: デジタルノマドビザはMDECの窓口でその場でキャンセルしてもらえましたが、就労ビザの場合は会社のHR部門との調整が必要になるため、早めに相談することをおすすめします。
Special Pass(一時滞在許可証)について

すべての必要書類が揃い受理された段階で、1か月ごとに更新する「Special Pass」が発行されます。他のビザをキャンセルした日付に合わせてSpecial Passの申請に行くとスムーズです。
筆者の場合の実例:
- 書類の正式受理日:5/28
- 1回目のSpecial Pass:6/26まで有効
- 2回目のSpecial Pass(更新):7/24まで有効
- 実際の配偶者ビザ承認・発行:7/15
予約について

書類提出、Special Passの発行、支払い・受け取りなど、すべての手続きはオンライン予約制です。ウォークインはできません。
予約サイト:https://queue.imi.gov.my/
- 当日分のスロットは朝6:00頃に空き始めます。
- 予約するだけでなく、イミグレーションオフィス付近でのチェックインも必要です。チェックインしないと、窓口で番号を呼ばれません。
- 新規申請は「1. New File Application」、Special Passなど提出後の対応は「2. PLS Advanced / Miscellaneous」を選択します。
予約が取りづらい・待ち時間が長い問題への対策

予約サイト:https://queue.imi.gov.my/
- マレーシア人パートナーと2人で朝6:00から待機し、6:05頃からチェックし始めると予約が取れました(マレーシア人側はアプリでも予約可能)。
- 窓口は8:00オープン。その前にオンラインでチェックインし、番号が呼ばれるまで待ちます。初回のみオンラインで待ち人数を確認できますが、2回目以降は呼び出しタイミングが分からないため、室内や入口付近で待機が必要です。
- 混雑具合によっては朝一番の8:00にチェックインしても、受け取りが午後以降になることもあるので、スケジュールに注意。
FAQ(よくある質問)
Q. 結婚時点で同居している必要がありますか?自宅にチェックが来ますか?
A. 書類上は同居しているように見せる必要があります。外国人の住所には二人で住む(予定の)住所を記載します。筆者の場合、自宅への訪問チェックはありませんでした。
Q. 自宅の写真はどのようなものを用意すればいいですか?

A. 写真はCommissioner of Oaths横の事務所にあった見本です。家の室内、2人で住む部屋、リビング、玄関前の写真が基本です。集合住宅の場合は建物の外観写真と名称が分かる看板の写真も必要です。
Q. 住所の証明はどうすればいいですか?賃貸の場合はどうなりますか?
A. 筆者の場合はマレーシア人パートナーが物件の購入証明書のコピー提出しました。賃貸の場合は賃貸契約書やオーナーが関わる書類が必要なケースもあるようですが、ケースバイケースのため確認をおすすめします。
Q. 現在就労ビザなどを持っている場合、キャンセルのために一度マレーシア国外に出る必要がありますか?
A. 筆者の場合は出国せずに対応できました。期限前にSpecial Passを発行してもらえれば問題ありません。配偶者ビザが承認され、受け取った時点でSingle Entry Visaにはすでに「Journey Performed」の記載があったため、承認後も改めて出国する必要はありませんでした。
Q. パスポートのコピーは全ページ必要ですか?
A. 空白ページは不要で、スタンプや記載のあるページのみで対応可能でした。
Q. 質問だけをしに行く場合も予約は必要ですか?
A. 入口の受付カウンターに案内役のオフィサーがいて、質問希望者の列に並べば対応してもらえます。ただし一般論としての回答になるため、必ずしもケースに合致するとは限りません。
Q. 費用は合計どれくらいかかりますか?
A. 主な費用は以下の通りです(筆者の場合)。
- Security Bond(承認時の保証金):RM1,000(日本人の場合)
- ビザ費用:RM90(1年分)
- Special Pass発行費用:都度RM20(筆者は2回発行で計RM40)
- Stamp Duty (Security Bondの書類用) RM10
- Sworn Acknowledgementの書類のサイン費用 RM 20
- JPNでのMarriage Certificateコピー代 RM50
Q. 就労ビザのキャンセルはすぐにしてもらえますか?
A. 筆者の場合はデジタルノマドビザ(De Rantau Nomad Pass)だったため、MDECに直接出向きその場でキャンセルしてもらえました(メールで事前に確認した時は数営業日必要とのことでした)。就労ビザの場合は会社のHR部門との調整が必要なため、早めの相談をおすすめします。
Q. Special Passの受け取り時、マレーシア人パートナーは毎回同伴が必要ですか?
A. 筆者は念のため同伴しましたが、書類受理後や今後についての質問に対応してもらった後、支払いから受け取りまでのプロセスは待つだけなので、一人で対応しても問題ありませんでした。マレー語ができるとスムーズです。
Q. マレーシア人パートナーは平日に休みをとって毎回同行する必要がありますか?何日くらい全部で必要ですか?
A. プロセスによります。1回目の本申請時は追加書類の可能性に備えてフルで休みを取ることをおすすめします。Special Passなど以降の手続きの場合は午前中のみで最初だけ同伴してもらいました。筆者の場合、書類チェック+本申請1回+Special Pass更新、承認・支払いの計4回イミグレーションオフィスに足を運びました。
Q. イミグレーションオフィスでの所要時間はどれくらいですか?
A. 朝8:00にオフィス近くでオンラインチェックインして、早ければ12:00〜13:00に終わることもありますが、混雑状況やその日のプロセスによって遅くなることもあります。受付→(追加確認)→支払い→書類受け取りの各工程で、それぞれ最低1時間は見ておくと安心です。筆者の場合、2回目のSpecial Pass発行時は朝8:00過ぎにチェックインし、受け取りが16:00過ぎになったこともありました。
Q. イミグレーションオフィスでは英語は通じますか?
A. 一般的には通じますが、役所であるためマレー語が基本です。マレーシア人パートナーまたは配偶者本人がマレー語を話せる場合は、マレー語でやり取りするのがおすすめです。
Q. 申請後、承認されたかを知る方法はありますか?
メールが来るなどの連絡はありません。ただ、提出して申請が受け入れられた時にオフィサーに聞けばだいたい教えてくれるので、予定日には「支払い」でオンライン予約し、そのまま窓口に向かいました。
まとめ
マレーシアでの配偶者ビザ(LTSVP)申請は、書類の細部(スタンプの有無、専用用紙でのコピー、証人のID添付など)で差し戻しが起きやすい手続きです。事前に管轄オフィスで最新のチェックリストを入手し、余裕を持ったスケジュールで臨むことをおすすめします。
※本記事は筆者個人の申請体験に基づく記録です。申請オフィスや個々の状況により必要書類・プロセスが異なる場合があるため、実際の申請前には必ず管轄のImmigration Departmentで最新情報をご確認ください。

